物件管理

PROPERTY MANAGEMENT

⑤不動産オーナーは対象になる?



個人事業主としての事業用資産が対象の個人版事業承継制度もありますが、残念ながら賃貸管理業・貸付業は対象外になるケースがほとんどです。

不動産賃貸業の多くが「事業」と見なされず、対象外となる場合が多いからです。
対象外となるのはどのような場合なのか、適用されるために必要な要件とはどのようなものなのかを解説します。

・原則的に資産管理会社には事業承継税制は適用されません。
事業承継税制が適用されるのは、あくまでも「雇用をもたらす事業」に対してです。
事業実態を伴わない会社、納税猶予を目的として設立された会社に適用するとなると、事業承継を推進するという趣旨からはずれるため対象外になります。

・資産管理会社には「資産保有型会社」と「資産運用型会社」の2つのタイプがあります。
該当する場合には原則として、新・事業承継税制が適用されません。

「資産保有型会社」の定義
「資産保有型会社」とはその名称どおり、保有している資産の7割以上を特定資産が占めている会社と定義されています。
特定資産とは自社の業務で使っていない不動産、株式や国債などの有価証券、現預金、貴金属などのことです。
建売住宅や投資用不動産などの販売用不動産も特定資産に含まれるため、資産保有型会社と判断されると想定されます。

「資産運用型会社」の定義
不動産賃貸業における「資産運用型会社」は直近の事業年度の総収入額に対して、不動産の家賃収入など、資産を運用することによって得た収入の割合が75%以上を占める会社を指します。
賃貸収入は「特定資産の運用収入の合計額」に含まれるので、賃貸収入が大きくなれば資産運用会社と判断されると想定されます。


資産運用型会社で事業承継税制が適用される例外とは?
資産管理会社は原則的には新・事業承継税制が適用されません。しかしいくつかの事業実態要件を満たすことによって適用される場合もあります。その要件とは次の三つです。

①3年以上事業を行っている
相続もしくは贈与日まで3年以上継続して事業を行っていることが新・事業承継税制が適用される一つ目の要件となります。
不動産賃貸業の場合の主な事業は不動産賃貸ということになるでしょう。子会社、グループ企業への不動産賃貸ではなくて、第三者への不動産賃貸を行っていることが要件となります。つまり雇用を創出する事業を指します。

②従業員が5人以上いる
ここでの従業員の定義では親族およびアルバイトやパートなどの非常勤は除外されます。
つまり正規の従業員が5人いることが条件となるのです。小規模の不動産賃貸業を営んでいる場合は、この要件をクリアするのは簡単ではありません。

③従業員が勤務する事業所がある
事業所は所有しているものでも賃貸でも構いません。
ただし、経営者や親族の自宅を事業所として登録している場合にはこの要件を満たしていないということになります。


3つの要件をすべて満たした場合に初めて事業実態があると認められ、新・事業承継税制の適用が可能になるのです。

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