2021年3月1日に、渋谷区桜丘町に『confidence -MEN'S HAIR- 渋谷店』をオープンした代表の市川 貴康さんにお話しを伺いました。
▼市川さんが美容師になろうと思ったきっかけを教えてください
中学生の時、美容室が嫌いでした(笑)。オーダーしてもその通りになった試しがなくて。美容室はどこも女性がメインだから、美容師さんも男性の美容にはうといのかなと。ヘアカタログに載っているのはだいたい東京ですし、僕のいた田舎はなおさら。それでドラッグストアで売ってるハサミやセニングを買って自分で切りはじめたんです。そしたら意外と調子いいなと(笑)
▼イメージ通りに切れていたのですか!?
あとで見返したらガタガタでしたけど(笑)、その時は気に入ってました。それで友達の髪も切るようになったんです。親からもらったカット代3000円を、僕が切る代わりに分けるみたいな(笑)。おこずかいほしさにやってましたね。
▼高校卒業後は専門学校へ?
いいえ、家にお金がなくて就職してほしいと言われたので、一度、企業に就職しました。
▼一度会社員になったのですか。珍しい経歴ですね。
3年位働きました。営業・販売・工場・・・色々やったんですけど、なんとなく合わないなというのがあって、市川さんじゃなきゃダメだって言われる仕事がしたいと思ったんです。
例えば工場のライン作業は誰でもできるじゃないですか。営業も商品がよければ、その営業マンじゃなくても売れる。それで中学生の頃を思い出して、美容師は手に職だし、僕を指名してくれる仕事だなと。それで21歳で専門学校に入りました。
▼21歳で入ったら周りと3年違いますよね
僕は通信だったので、3年通う必要がありました。同級生とは3つ年齢が違うけど、働きながら通えばその差は埋められるかなと思いました。普通だったら専門学校に2年行って、3年アシスタントしてようやくスタイリストになれる。でも僕は美容室で働きながら、3年勉強して、卒業したらすぐスタイリストになるのを目指した。そうするとあまり変わらない。家のすぐ近くにあった美容室で働き始めたので、終電も気にする必要がないし、思い切り練習も打ち込めるなと思ってましたね。
▼東京へはいつ来られたのですか?
地元では7年くらい働いて、自分の実力に未来を感じなかったんです。売り上げも立てられないし、だったら一回東京で勝負しようと。27歳で焦りもありました。でも正社員になると辞めづらいので、派遣美容師を始めました。毎日違うお店で働いて、2ヶ月で30店舗くらい行きました。
▼なぜ色々なお店で働こうと思ったんですか?
自分がそのお店で働きたいという理由を見つけたかったんです。地元のお店でしか働いたことがないから他を知らなかった。色々な店舗、色々な働き方を見て、いいなと思うところを見つけたかったんです。そしてメンズ専門の美容室に出会った。当時は新しくて、僕の中のコンセプトともマッチしていました。自分の髪や友達の髪を切っていたし、男の人をカッコよくしたいというのが僕の原点です。ここだったら一番になれるんじゃないかと思いました。そして店長さんに正社員になりたいと申し出たんです。
結局そのお店で1年半働いて店長になり、さらに1年半後、30歳の時に独立しました。だからスタッフには3年で人生変われるよと言ったりしてます(笑)。コネとかお客さんがいなくても、3年でお店が持てるようになれるんですから。
▼市川さんストイックそうですもんね(笑)
そうですね、寝ないです(笑)
▼美容師の仕事は天職だったわけですか?
どうでしょうね。合ってるとは思いますけど、他の仕事をやってみたいなとも思います。美容師という枠を超えて色々なビジネスをやってみたいとは思います。
▼例えばどういうことがありますか?
美容師というカテゴリは外さずに、例えば経営だったら集客代行とか、薄毛や抜け毛で悩んでいる人に対してだったら、サプリを提供するとか。今は行くところはドクターしかないですけど、美容師は毎月カットしているから髪の状態もよくわかります。
▼いわゆる『王道』の美容師もいいし、そうじゃない働き方があってもいいよねということですね。
美容師という経験を活かしながら、新しい取り組みをどんどんやっていくことで、下の子たちも色々な働き方ができるようになる。ネットでサプリとかスキンケア商品を販売してもいいじゃないですか。ハサミ一本だけで稼ぐんじゃなくて、いろんな仕事で、美容師というジャンルで稼げればいいなと思います。男性の美意識もどんどん上がってきているので、髪だけじゃなくて肌の悩みもありますし、変化に対応していかないともったいないなと思います。
▼メンズスキンケア商品が売れてますし、美容師はいい立ち位置ですよね。では今回の物件について教えてください。どのような視点で物件を探されましたか?
1店舗目のある新宿よりも挑戦しがいのあるエリアということで、渋谷で探そうと思いました。
▼渋谷以外に選択肢はなかったんですか??
なかったですね。スタッフも渋谷で働きたいという意向も強かったので、どうせなら働きたい場所に出すのがいいと思いました。本当は新宿で2店舗出せば、エリアのカバーもできるのでよりセーフティーかなと思いますけど、例えば求人を出す時に、新宿に2店舗あるより新宿と渋谷の2店舗あるというほうが応募も増えるかなと考えました。
▼求人に対しての視点もあったわけですね。他にもあれば教えてください
家賃ですね。渋谷はやっぱり高い(笑)。僕は広く構えて成長感がほしかったんですけど、坪単価を抑えないと毎月の固定費がかかる。渋谷は30坪で11席、シャンプー台は4台。新宿は26坪で8席、シャンプー台は3台です。ちょうどいい規模かなと思います。
▼ここに決めるまでに何件くらい見ましたか?
表参道あたりも含めて20件くらいです。
▼物件探しで困ったことはありますか?
安易な考えなんですけど、コロナだからちょっと安くなっているかなと思っていました。でもそんなに変わらなかったですね。
家賃が高い分、初期費用を抑えたかったので居抜きを探したんですけど、渋谷はほとんどなくて。大きい店舗や飲食はたくさんあったんですけどね。ここは事務所仕様だったので、1から好きなデザインで作れたというのはメリットでした。
▼オープンまでに大変だったことはありますか?
クレジット(カード)って電話番号決まって1ヶ月半くらい審査がかかるんですよ。電話番号が決まるのは内装が終わってからだから、オープンには間に合わない。今の時代、クレジットがないと死活問題じゃないですか(笑)。だからフリーレントが長めにあると助かりますよね。新規でオープンする人は自己資金が少ないだろうから、クレジットないと大変なんじゃないかなと思います。今回は本店のカードでなんとかしのぎましたけど。。
▼クボタのサポート具合はどうでしたか?
完璧でしたよ(笑)スピード感が早い人が僕は好きなんです。クボタさんは美容室の知識が多くて、渋谷というエリアを考えたときに、土地的なエリアに限らず、美容室のエリアを教えてくれたので、同業者の情報だったり、近隣の企業や学校なんかは参考になりましたよね。なかなかそういうことって聞けないじゃないですか。
▼お店のコンセプトを教えてください
メンズ専門店ということですね。美容師を始めた頃は女性も考えてました。でも男性に絞ることによって、男性のお客様には安心感があるかなと思います。メンズ専門でやってるから技術とか、薄毛や抜け毛なんかもお店に男性しかいないので言いやすいとか。
▼男性と女性に違いがあるんですね
まずスタイルが違うと思います。女性はかわいいとかきれいとか、柔らかい丸みがあるという感じのカットの仕方なんですけど、男性の場合は、かっこいいとかクールとかちょっと尖った感じなんですよ。
どのヘアスタイル見てもどっかを尖らしてるんですよね。女性が尖らすとボーイッシュになり、反対に男性を丸くすると中性感がすごく強くなる。そういう違いがあると思いますね。
▼店名『confidence』の由来を教えてください
髪を切って自信を持って帰ってもらうというのが一番のコンセプトです。コンフィデンスは他にも信用・信頼・確信という意味もあるので、僕たちが扱う商品は、安心安全で信頼いただきたいですし、お客様に満足いただけることで、僕たちの技術への確信に変わるということもあります。
お客様には「店名がいいっす!」と言ってくれる方もよくいて(笑)、美容室へ1回も行ったことありませんとか、床屋さんしか行ったことありませんという高校生や大学生のお客様も結構来てくれるんです。
新しいお店に来て『前回と同じ』じゃつまんないじゃないですか。冬なのにハーフパンツ履きますか?みたいな(笑)。冬は冬なりのスタイルがあるし、トレンドだってあるので、前回と同じベースでちょっと変えていきますねみたいな感じで、僕はあまり同じスタイルは作らないですね。
▼社員のみなさんに対する思いを教えてください
若い子ってSNSとか得意だし、自己表現の仕方って今はいっぱいあるのかなと思います。表現の仕方によって人の見え方は変わると思うので、渋谷店という新しい場所で活躍してもらいたいなと思います。
そしてみんなで渋谷メンズサロンNo.1を獲りたいですね。
▼これから独立する方にアドバイスをするとしたら?
2つあって、まずはいろんなファンをつけておいたほうがいいということ。お店を出す時に味方になってくれますから、お客さん、従業員、営業さん、不動産屋さんとかいろんなファンを作ることですね。
独立は0からのスタートですから、新規のお客さんはあてにしないほうがいいと思います。美容室ってありふれてますし、渋谷は特にメンズサロンが強いので、メンズサロンに珍しさはないです。だから強いファンを作ることが大事ですよね。
もう一つは他と被らないコンセプトですね。これは勇気もいりますし、批判されたりもします。僕が最初にメンズサロンをやるときに、多くの人に批判されました。男性って単価低いでしょとか、『やっていけるの?』って(笑)。
でもニッチなサービスを求めている人も多いんです。普通の美容室をやってた時よりもお客さんの数も圧倒的に多いですから。誰もしていないようなコンセプトでやること。渋谷店に関しては、メンズサロンだけど、強みとしては韓流感とかハイトーンです。最初は難しいかもしれないけど、だからこそ多くのお客さんを抱えてスタートしたほうが安定するかなと思います。
ファンを作りつつオンリーワンコンセプトを作る。一個人でやるより一店舗でやるから強いと思うんですよね。
ー編集後記ー
市川さんは一度サラリーマンを経験している美容師です。あれこれやってたどり着いた仕事だからか、その枠にはこだわらないという姿勢が柔軟だなと思いました。一本気な職人というよりビジネスマンとして、多様な働き方を作っていこうとされていました。既に美容師の仕事は、それぞれの専門性にカテゴライズされてきていますが、市川さんの構想は、美容師というベースから拡大させていこうとしていますので、ここ渋谷から新しい美容師の形を発信していくことを期待しています。
confidence -MEN'S HAIR- 渋谷店
〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町16-6 サンライズ桜丘ビル1A号室
TEL:03-6416-4828
https://www.confidence-mens-hair.com
【営業時間】
AM11:00~PM20:00
定休:月・火
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