仕事の実績紹介

works

  • 事業賃貸
  • オフィス・店舗の借り方
  • 事業を始めるには
  • 美容室を始めるには

競合がいる場合の申込みの難しさ

2023.06.16

今回は、店舗の賃貸物件探しをサポートしたケースを振り返りたいと思います。

お客様との出会いを教えてください

お付き合いのある業者さんからご紹介いただいて、増店のご希望で物件を探し始めました。

お客様のご要望は?

既にいくつか出店されているので、エリアも広さも賃料条件も明確でした。ただ半年くらい探されていて、なかなか合致するものがないようでした。今回の物件の前にも申込を入れていた物件があったんですが、申し込み順で競り負けることもあって。

募集が出てすぐに内見していただいて、即日申込みをしたんですが、競合他社がいて同時審査になったんです。オーナー様の判断だと思いますが、同じビルに入るテナントとのバランスなども考えて他社を選ばれてしまい、またゼロから探し直しになりました。

お客様としては悔しいですよね…

時間も経ってますから、早く見つけなくてはと思いました。今回契約した物件は既に1度ご提案させていただいていたんです。当時の賃料はちょっと合わなくて見送ったんですが、2ヶ月くらい経って賃料がぐっと下がったので再提案したらもう一度見てみたいと。

その後は順調に進んだのですか?

内見していただいてすぐに申し込みをしたんですけど、また同日申し込みがあって・・・。

また競合ですか!重なるものですね…

そうなんです。賃料は減額したばかりだったので減額交渉はしませんでした。ただ内装工事に時間がかかるので、フリーレントを要望事項として入れたんですね。これが大きく影響しました。

フリーレントを要望したことがどんな影響を?

競合は賃料満額、諸条件も募集通りで申込してきました。フリーレントや要望はなし。それを聞いて、このまま進んだら競合に決まってしまうので、お客様には『要望事項を白紙にして内容勝負で取りに行きましょう』と相談させていただきました。

お客様も同条件にしたということですね。結果は?

オーナー様も最後まで悩まれたようですけど、『最初から交渉なしで申込したお客様を優先します』となりました。私が甘かったですね…。

でも競合さんの契約日の2日前にオーナー様から「流れました」とお電話いただいて。1番手がキャンセルになったことで再び契約のチャンスが回ってきたんです。すぐにお客様にお伝えして「ぜひ」と話が進みました。

状況が変わって契約できたんですね。

競合のカードが分からないというのは難しかったところです。お客様にはできるだけいい条件で借りていただけるように、募集条件そのままというよりは交渉をさせていただく場合がほとんどです。特に内装工事期間のフリーレントですよね。でもオーナー様にとっては交渉はないほうがいい。

今回賃料は減額したばかりだったので、そこを更にとなると心象がよくないと思いしませんでした。でも競合が募集条件そのままで申し込んだことが明暗を分けました。こちらはフリーレントを希望しましたからね。奇跡的にキャンセルしてくださったのでよかったですが、最初に出したカードが勝負を決めることがあるんだなと痛感しました。

かといって相手の出方を見て後発で出せば申込順位が下がりますし、交渉しないまま申込するのではお客様も納得しませんし…。こればかりは出してみない事には本当にわからないというのもあります。

募集出たのがいつか、賃料下がったのがいつかを知らないと交渉が的外れになることがあるということですよね。

募集出たばかりなのにべらぼうに交渉したとなれば入り口で断られる可能性もありますし、オーナー様や管理会社の反応を見ながらやるしかないですし、そういうことは借りるお客様にはわかりにくいことなので難しいなとは思います。

お客様は安くしてほしい気持ちが当然にあるけれど、交渉することで他社に競り負けることもある。それは営業のハンドリングですよね。絶対に獲りたい物件なら慎重な申込みで進めるほうがいいかもしれないけど、競合が条件交渉をせずに申し込むとも限らない。申込前のオーナー様や管理会社の反応をどうこちらが考えるかもポイントのように思います。

人気エリアは特にそうですね。立地や募集条件によって競合がたくさんいることを考えなくちゃいけないなと思いました。今回は立地を考えればお得物件でしたし。私の経験不足がお客様に迷惑をかけてしまったなと…。

ところでお客様は相場感は持っていらっしゃったんですか?

いくつか物件を提案させていただいたので、広さや場所、駅からの時間といった要素から賃料相場はご理解いただいていたと思います。既存店もありますし。

既存店を借りた時と今では家賃相場も変わっていますよね?

そうですね。今回は人気エリアなので、上がることはあっても下がることはあまりありません。築年数が古いから下がるというわけでもなく、事業用の場合は需要があるかないかに左右されますから、それはお客様もご理解いただいてたと思います。

オーナー様はどうして賃料を下げたんでしょう?

事業用の場合は賃料も大きいので、空室が長引くほど収益の損失幅も大きくなります。例えば100万円の賃料で1年空室にして1,200万円を得られないよりも80万円にして入居していただいて960万円の収益を得るほうがいいわけです。

空室のままだと、仲介会社や既に入居されているテナントさん、街を歩くお客様に対しても、「ずっと空いてるね」と見られますし、やっぱり満室でにぎわいのある方がオーナー様にとっても大事だと思います。いろんな意味で減額をして入居していただいたほうが良いと判断されたのではないかと思いますね。

これまでを振り返っていかがですか?

最後まで何があるかわからないなというケースでした。2番手になったときは難しいなと思う自分がいたんですが(笑)、でもそこから数日で劇的に状況が変わった。まさかそんなふうにチャンスが来るとは思っていなかったので、まだまだ勉強が足りないですね。

先日オープンされたので伺ってきたんですが、夕方になると光がいい具合に差し込んで雰囲気が良くなって、お客様もそれをすごく気に入っていただいているというお声をいただけたので、本当に良かったなと思います。