今回は戸建て住居を店舗として貸し出したケースを振り返りたいと思います。
どんな物件か教えてください
戸建てを定期借家で募集しました。オーナー様はゆくゆく取り壊して建て直したいという計画があって、それまでを貸し出したいとのことでした。
オーナー様との出会いを教えてください
別の物件で既にお取引きがあったオーナー様から、新しい物件があるからとご依頼いただきました。
どんな条件を設定したのですか?
オーナー様は居住用で貸すこともお考えだったんですが、近隣相場を調べると比較的新しいマンションが賃料も安く借りられたんです。オフィスビルも同じくらいの賃料で綺麗なものがあったので、店舗利用を可としたほうが賃料を下げることなく早期に借主様を探すことができると提案させていただきました。近隣で路面に面している店舗物件はありませんでしたしね。ただ広くない部屋でしたし、お風呂やトイレも残っていましたけど(笑)。
戸建てを店舗で貸し出すにあたって、200㎡未満なので用途変更は必要なく、また用途地域的にも問題ありませんでした。
どんな施策を打ったのですか?
ポータルサイトへ複数掲載したり、これまでのお客様に連絡したりしました。
契約が決まるまでどのくらい募集期間があったのですか?
早かったですね。募集を始めて2ヶ月かかっていないと思います。シーシャやBAR、美容室といった方が内見に来られました。
戸建てを店舗で貸すには契約面で難しかったのではないですか?
少し古めの物件で残っている書類も限られていましたので、契約は慎重に行いました。耐久性の問題や、電気・ガス・給排水等、事業に必要な設備が整っているかなども内装業者さんを通してしっかり確認しました。
また、これが一番大変でしたが、法令的に問題がないかということは徹底的に調べました。オーナー様にとっても借主様にとっても事故だけはあってはいけませんからね。
法令に則った契約は大事ですよね
借主様はいいことしか見ていないことも多いです。だから、借主様の想定するリスクを超える想定を私がしておかなければいけないと思うのです。万が一何か起きた時にどちらの責任になるのかというのは本当に難しいですが…。
とても骨が折れます…。しかし契約書に書いたからといって、それが有効に適用されることばかりでもないですよね。
はい、これはオーナー様と借主様の信用あってのことですが、万が一イレギュラーな事態が起こってしまった場合にも二者間で大きなトラブルにならないように、借主様にはリスクを十分に理解いただきました。それでも借りたいという方で、とても熱意のある方でした。
私は石橋を叩きまくって渡るタイプなので(笑)、最悪のことを考えて、いいところだけではなく万が一のリスクを二重にも三重にも双方にお伝えして契約を交わしました。
最後に、今回のケースから学んだことはありますか?
現地調査に時間がかかることは事業用では当たり前のことですが、私が知っていたら回数を減らせたこともあったと思います。設備の知識に関しても内装会社さんがいなくてもある程度は答えられるようにしないとなと思いました。
私は気になったことはとことん調べてしまう『ググりのナカゾノ』と言われてましたので(笑)、類似事例と合わせて判例も参考にしながら、もっと勉強しないとなと思います。