退職したIさん
2021.04.14こんにちは、CD室の熊崎です。
3月末で退職した社員について、書き残しておこうと思います。
本人のプライバシーもありますが、きっと「全然、大丈夫ですよ」と言うと思うので(笑)、遠慮なく。
Iさんとの出会いはエン転職でした。
私は初めて転職媒体を使ったんですよね。採用コストという言葉も初めて知りました。
今じゃその感覚は麻痺しかかっていますが(←いや、麻痺しちゃいかん!)、当時は会社も採用にお金をかけたことがありませんでした。
だから、一人も採れなかったら・・・というプレッシャーはなかなかでしたよ。
私は右も左もわからず、代理店の方と相談しながら進めていきました。
エン転職のような媒体には、スカウトメールという機能があります。
登録をしている一人一人に対して、その名の通りスカウトメールが送れるのです。
テンプレートを作って、一斉送信というのが定石。
しかし、定型文を送るのは、『誰でもいい』と受け取れなくもないから、求職者の方に対して失礼だろうと思い、私は一人一人職務経歴を読みながら、個別にメールを送っていきました。
しかし反応はなかったですね・・・
こんなものなのかなという思いもありましたが、しかし今日まで、スカウトメールは同じポリシーで送っています。
ウルクルは小さな会社ですから、知名度は全くありません。平均律で返ってくることは期待できない。
大きな網を投げても、網の間から逃げてしまう。。
だから銛を持って素潜りするしかないのです!
ちょっとたとえが悪いですね・・・
かっこよく言えば『弱者の戦略』、でもその実は泥臭い仕事・・・
媒体の掲載期間は、たいてい寝不足になります(笑)。
職務経歴を読み込んでメールを書く時間を考えれば、どうでしょうね・・・
一人5~10分はかかるでしょうか。当時はもっと遅かったと思いますね。
そんな私のスカウトメールに応えてくれたのが、Iさんだったんです。
私が一番興味を持ったのは、Iさんは女性として生まれたけれど、男性として働きたいと書いてあったことです。
私は前職でそういう方との関りもありましたので、それ自体には全く抵抗はありません。
しかし、おおよそ隠しておきたいとか、知られたくないとかいう方が多い中で、Iさんは明言していました。
全く見ず知らずの企業の人事が見る職務経歴の中にです。
珍しい人だなと思いました。
それで面接して、いろいろ話を聞かせていただきました。
結果、採用となったんですが、その後は大変でしたね・・・(笑)
何がって、まずパソコンが全く使えませんでした。
人差し指一本で押していくわけですから・・(笑)
でも彼は努力の人でした。
会社で使っていないパソコンを持ち帰って、仕事後に自宅でパソコンの練習を毎日したんです。
そのかいあってか、みるみるうちに使えるようになっていった。
これには私も驚きました。短期間ですごい上達しましたから。
実は彼は、3歳から大学卒業までずっとサッカーをやってきました。
選抜にも選ばれたり、リフティングを7時間やれるくらいの実力者。
たとえば、高速道路を80km/hで7時間、休憩なしで走り続けるようなものです。尋常じゃない。
彼は、基礎をしっかりと積み重ねるという体験を持っていたのです。
これは本当に大きい財産です。
誰しも生きてきた背景が違い、得意不得意も違う。
私は彼から、過去の体験が仕事にも影響することを学びましたし、努力とはなんぞやということを、改めて教えてもらった気がします。
努力を努力と思わずできるかで、人とは違う景色が見えるようになる。
世の中に蔓延る8時間労働ブームにあって、彼はいい意味でマイノリティだったわけです。
Iさんは、ウルクルの企業理念のひとつである『個を尊重する』を、体現した第一号でした。
会社の愛されキャラとして、1年半頑張ってくれました。
政岡にはしょっちゅう怒られていましたけど、愛がありましたからね。
彼もそれに応えようと、必死に食らいついていました。
1年半という期間はとても短かったですが、ご実家の都合でUターンしていきました。
彼にとっても人の役に立つ仕事とか、面白さや喜びなどを知ってもらえた時間だったのではないかと、私は思っています。
これからの彼の人生において、ウルクルでの経験が、少しでも活きてくれればいいなと思っています。
そして、彼への餞別?というものでもないですが、私の春コートをあげたんです。
なんか中学生の第2ボタンくださいみたいな終わり方も、私の印象に強く残っています(笑)
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キャリアの在り方
一般的には起業でもしない限り、自分の好きなようには働けません。
特に大きな組織であればあるほど、働き方は多様に見えて制限も多いもの。考えてみれば当然です。大きな組織にするためにはパーツパーツで切り分けて動かす必要があり、やることが決まっています。与えられた役割をこなしていくことで、大企業のマネジメントは成立します。
しかし中小零細企業であっても、多かれ少なかれ働き方に制限はあります。ウルクルはその中でも、社員が比較的自由に働くことができます。
与えられた仕事をこなすことが得意な人にとっては全く合わない職場です。反響を与えられる、契約業務を与えられる、退去立会を与えられるなど、仕事の多くは会社が準備してくれるようなところで活躍できる方は、ウルクルでは全く活躍できません。
自ら仕事を得て、自ら仕事を広げていくスタンスなんです。
前者は塗り絵のような人生でしょう。やるべきことが決まっていてはみ出さない限り、そこそこ綺麗な絵が描けるし、見栄えもいい。他人と似たような絵になります。
一方でウルクルは真っ白なキャンバスに自分で絵を描いていきます。どんな絵を描いてもいいし塗り方も自由。もしかしたら傑作ができるかもしれないし、誰にもわからない絵ができるかもしれない。
どちらが良い悪いはなくて、どちらが自分に合いそうか。
自分のキャリアがどうありたいかを考えれば、自ずと進む道は決まります。無理をすることはないと思うんです。直感ってそう間違ってないと思いますので。(KUMAZAKI) -
テーマ『社員幸福度の高い会社』
ウルクルは現在12期。宅建免許も更新して、(3)になりました。12期は藤堂の提案により『社員幸福度の高い会社』をテーマに、月例会議で社員全員で話し合いの場を持っています。
資料を作らず会話だけ、伝言ゲームのようなスタイルでどこまでやれるかというのも、もう一つのテーマとしてあります。現代はあまりに事前の準備が必要で、また効率化を図ることに躍起になっているので、深く理解し合うには至っていない部分も多いと感じます。用意された資料を読み、なんとなくわかったようで実は理解違いをしているなんてことはざらにあります。
人それぞれ価値観は違い、その集合体である会社では、ある意味それを一本化することは至難です。ゆえに会社の目標や理念が道しるべになるわけですが、あまり会社の方針に寄りかかる社員では、会社がなくなったときに行先を見失います。
ウルクルという会社は社員にとっては土台なだけで、社員自らがキャリアを考え、自分の道を悩み迷いながら見つけていくプロセスをサポートするだけ。会社に依存しないキャリアを作ることが、人生100年時代を乗り越えるヒントではないかと思うんです。
効率化は忙しい現代にあって必要性もあるのだけれど、お互いに理解し合える到達点に辿り着くにはどうしたって時間が足りていません。そんなところから、1年かけて議論してみようという流れになりました。
1年間を使って話し合うなんてなかなかない機会ですが、やったこともないので先も見えていません。しかし、モノやコトを作り出すのに、無駄なようにも思える時間やプロセスは必ず通ります。特にテーマがテーマだけに、模範解答はありませんし、大事なのは今いる社員が会社を作っていますので、その社員の想いが反映されたものでなくては意味がない。
毎月前回の担当者と今回の担当者が課題を共有し合い、新しい発想をどんどん生み出してくれています。
さて、12期が終わる頃にはどうなっているのでしょうか。
ウルクルで働く社員にとっての『社員幸福度の高い会社』とはどんな会社なのか。とても興味深く見守っています。
(KUMAZAKI)