2024年11月1日に、東京都中野区に『Me-Mott(メモット)パーソナルジム中野店』をオープンした株式会社ISSHIN の代表取締役 陳 紀洋さんにお話しを伺いました。
初めての起業と伺いました。いつ頃から起業を考えていたのですか?
今年のゴールデンウィークです。板山世界と坂川裕大という2名のトレーナーに、「独立に興味はないか?」と声をかけたのがきっかけです。坂川は独立する予定がありましたし、板山も人気者でいろんな経営者に声をかけられていました。3人で時間をかけて話し合って、パーソナルジムに限らずいろんな事業をやっていきたいという共通点があったので、事業化するために会社を作りました。
事業の多角化の第一歩としてパーソナルトレーニングジムを選ばれたわけですが、競合とはどう差別化を図ろうとされたんですか?
私はパーソナルトレーニング業界がレッドオーシャンだと思っていないんです。確かにトレーナーが1対1で目標達成に向けてサポートするジムという意味ではレッドオーシャンかもしれませんが、お客様ファーストのコンセプトを作り上げて、マーケティングをちゃんとやってるところが少ないから廃業率が高い業界になっていると思うんです。
大手ジムはシェアを拡大していますけど、お客様ファーストのコンセプトはまだ深まっていないと思うので、僕らはそこを狙っていこうと。ただ調査したら既に数社あってやっぱり成功しているんですよね。
陳さんが感じたお客様ファーストじゃないと思った部分はどんなところですか?
私もジムには通ったことがあって、最初はマシーンや器具が置いてあって自由にどうぞというよくあるジムでした。でもマシーンはいっぱいあるけど使い方がわからない…。店舗にいるトレーナーに教えてもらってその時はわかった気になるんですけど、一人でやると「あれ?」とわからなくなる(笑)。そして本当に効いているのか…?と疑心暗鬼(笑)。
プロゴルファーの動画を見て、自分にもできるかもとやってみたら全然できないのと同じです(笑)。知識として分かっても、実際にできるかは全くの別物ですよね。
次に行ったところがパーソナルジム通い放題の店舗だったんですけど、そこでパーソナルトレーナーのありがたさを体感しました。できるように教えるのがパーソナルトレーナーの付加価値だと思うので、それは私もやってみるまでは分からなかったですし、それをたくさんの人に広めていきたいです。
トレーニングはスポーツなので、老若男女誰でもできるものだと思います。トレーニングを自分の知識やスキルとして身につけておけば、いつどんな時でも自分の体に向き合うことができる。そこで卒業型パーソナルジムというコンセプトが生まれました。
お客様が自分だけでトレーニングをし続けられるようになるということですか?
目標を達成させて終わりになっているところが多いのかなと。私たちはお客様が自分だけでできるようになることが大事だと考えています。
経営的にはずっと通ってもらった方がいいのではないですか?
パーソナルトレーニングはどこも高いので、今はお金がある人が通う場所になっています。富裕層が通う分にはお金には困らないでしょうし、トレーナーもお客様にずっと通ってもらったらラッキーという考えがあるのは現実ですよね。
私も経営者になって、自立する人を増やしたいけど通ってもらわないと困るという矛盾を考えながら運営しています。ただ日本人のフィットネス人口は5%もないので広げることは急務ですし、全員をトレーナーにするというのも私たちの史上名題なんですね。ムキムキになる必要はないですが、知識があって簡単なトレーニングをする方法を誰もがやれる世の中にしたいんです。
例えばお腹がぽっこり膨らんでしまい、痩せたい場合の解決策は『腹筋』じゃない。まずスクワットして、特定の筋肉を痩せることでお腹は自然と落ちてくるとか、食事はどういうこと気をつけたらいいとか。課題解決が自分でできるようにしたいんです。
大事なのは睡眠・食事・運動で、パーソナルジム領域では食事と運動ですよね。それがスキルとして身につけば人生困らないと思うんです。2人のトレーナーはすごくお客さん思いで、お客さんの言語化できない思いも汲み取って取り組んできました。だから私たちはお客さんが自立して卒業するパーソナルジムを作ろうというコンセプトに辿り着いたんです。
まずはパーソナルトレーニングジムをやることが決まり、次は店舗探しですが、法人登記をされずに始められたそうですね。
あれこれ準備してから起業するのではなくて、先にお店のオープンを11月1日と決めてしまったんです。ハセガワさんはパーソナルジムを何十店舗と手掛けられているので、スケジュール感もさっと出してくれて、逆算したら色んな事を同時進行しなければいけなかった。しかもかなりタイトなスケジュールで(笑)。融資の話も詳しく教えてくださったので本当にハセガワさんには助けられたと思います。
探された条件ですが、エリアと広さと賃料、駅10分以内というところですが、この条件はどのように設定されたのですか?
エリアについてはマーケターの方と商圏分析をしました。そこで検索ボリュームや競合、いろいろ割り出した中で、ある程度収益を見込めるエリアをピックアップしたんですね。でもとにかく時間がなかったので、5地域ぐらいを候補にして、マーケターの方にハセガワさんをご紹介いただきました。
広さは、多くのパーソナルジムは1対1だと思いますが、私たちは2人いるので同時進行できるように2~3ブース作りたかった。それで20坪以上は必要でした。
賃料は、住居は何回も引越しているので分かるんですけど、テナントは全然わからなかったですね。こんなに違うんだということを今回初めて知りました。
最初は別の不動産会社で探されていたそうですね。
ジムの開業に強い不動産会社さんに問い合わせしました。物件はちょくちょく送っていただいたんですが、同じ条件でもハセガワさんのほうが10万くらい安いんです。『どういうこと?』ってなりますよね(笑)。
特別な物件ばかりを送っていたわけではないと思いますが、どんな視点で探したんですか?
ハセガワ:物件を見ればジムが出来るかはだいたいわかります。でも『出来るかな…』という瀬戸際物件が大事で、それを洗い出して管理会社に電話していったんですね。最初は怪訝そうな声なんですけど、一から全部説明していくと「じゃあ相談できます」となって、それをピックアップしていきました。
そういうことだったんですね。もう一つの不動産会社から送っていただく物件は、ジムは絶対できるけど高いんですよ。私が提示した賃料上限ギリギリで責めてきましたし(笑)。あまりこちらのことを考えてなかったのかもしれませんね…。期限もあったので、ハセガワさんじゃなかったら多分そのまま進んでいたので、それを思うと怖いですね。
ハセガワ:私は賃料を伺った時に、こんなに出せるんだってビックリしたんです。目黒や中目黒ならこの賃料もあるかもしれないけれど、他の地域はここまでいかなくてもあると思ったんですね。私は仲介して終わりじゃなくて、お店をオープンして事業が軌道に乗って長く続いていくように、そういう場所で開業してもらいたいという気持ちがあるので、賃料はなるべく低い方がいいだろうというのはいつも思います。
そこは自分の利益とお客さんの利益のジレンマがある部分じゃないかなと思います。物件の知識なんかはどの不動産会社もそんなに変わらないと思うんですよ。素人の私に不動産のあれこれを丁寧に教えてくれて、最初の不動産会社にも本当に感謝しています。ただ最後は人対人なので、本当にお客さんのためを思っているかどうかが一番大きいのかなって私は感じました。
物件探しで困ったことはありましたか?
困ったのはあんまり物件がなかったことです。私の感覚ではちょっと夜遅くなってスーパーで残ったお弁当にシールが貼られていて、それがめっちゃいい物件みたいな感じで、それをなんとか待つみたいな感覚でした。だけど20坪以上と条件が限られている中で、めちゃめちゃいい物件を次から次に出せるハセガワさんが、正直私は謎でした(笑)。めちゃめちゃ困っていたんですけど、あっさり解決してくれたなって思います。
印象に残っているやりとりはありますか?
今回いろんな取引先の方と出会ってきたんですけど、まずレスがめっちゃ早いことですね。本当に一般的なことですけど、それができない人もいますし、レスが遅いだけで萎えるんですよね。
急いでますしね。
そうです。特に物件なんてすぐなくなるじゃないですか。しかもめちゃめちゃ早く丁寧に、分かりやすく、全部説明してくれたんですよ。他には物件以外のところでも、いろんなパーソナルジムを立ち上げてこられて、こうだったらいいよねとか、飲食店の話とかいろいろ質問しても答えてくれるし答えられる。それがハセガワさんの強みだなと思いました。
この物件の第一印象はどうだったんですか?
第一印象はめちゃめちゃ良かったです。ただ、すぐその後に条件のいい物件が出て来たんですけど競り負けてしまった。それは会社の謄本が間に合わなかったんです。だから潔く2番手候補で進めました。
契約後、大変だったことありますか?
全部大変だったんですけど(笑)、あえて言うなら内装ですね。経費を削るために、自分たちで資材を調達したり、デザインもやることになったんです。何百種類ある床材の中から選んだり、更衣室の仕様書を書いたり、消防署への届け出もしたりと、今思えば、すごく大変でしたけど二店舗目やるとなれば楽勝やんっていう気持ちです(笑)。
1店舗目では人を探すが大変じゃないですか。そこがまずクリアされた。物件探すならハセガワさんだし、内装だったらこの人とか、徐々に自分の中で絞れているから、それだけでだいぶ楽ですね。
それこそ内装だけじゃなくて、マーケティング全般、SNS運用も全部自分たちで最初からやるって決めてるんですよ。その分コスト下げられるんですけど、時間的にも労力的にも大変。大変だけど自分のスキルにもなるし、今後私たちトレーナーに特化した独立支援事業をやる予定なので、そこで人も紹介できるし、スキルも教えられる。そこまでできることを考えたら、もう頑張ろうぜみたいな感じでやってました。
オープンを迎えて、物件を借りる前とオープン後のイメージに違いはありましたか?
一番ギャップを感じたのは、内装が完成した瞬間です。ここは元々事務所仕様で、私の通っていたジムのようにシンプルで、かつラック1台、マルチラック1台みたいなのを想像していました。いろいろマシーンも買いましたが、私たちのジムは3ブース作るのでどういうジムになるか完成するまで本当に分からなかったんです。
内装が仕上がって、マシーンが搬入されて、こんなパーソナルジムないだろ!みたいな(笑)。めちゃめちゃかっこよくて、デザインも自分たちで決めてて良かったなって思いました。途中で内装業者さんに、「やっぱり私たちがやる?」と聞かれたんですけど、そこはもう歯を食いしばって、「自分たちでやります!」と答えて良かったですね。
ここからどんな展開をされるのでしょうか?
まずは1店舗目を大成功させたいです。そしたらトレーナー独立支援事業を展開していきたいと思っています。今は私しかサービス提供できないですが、私が経験したことを坂川や板山も出来るようになって、この事業に関係する人をどんどん増やしていきたい。トレーナーの後輩に対して、独立支援事業を提供していくことをやりたいですね。
今回テナント物件を始めてお探しされたわけですが、テナントを扱う不動産業界の印象を教えてください。
私がいた金融業界と似ていて、不動産業界も情報の非対称性があるなと思います。リテラシーが全然違うので、仲介でも管理でも絞り取ろうと思えば絞り取れる。例えば家財保険の不動産会社へのマージンが大きいのとか、そういうのはザラにあるじゃないですか。そこはあんまり印象は良くないです。私は金融業界で5年間働いてきて、闇の部分に目をつぶれなかったので辞めました。抜け出したと言ってもいいかもしれません。
その中で一縷の望みというか、お客さんのためを思ってサービスが提供できるかできないか。金融しかり不動産しかり、お客さんファーストの会社だけが勝ち残る時代になってほしいし、なるだろうなと思います。自宅もハセガワさんに探していただいたので、個人的にも会社的にも今回はとてもよかったです。
ウルクルさんだったら問題ないだろうと思いますし、長く付き合いたいと思うので、不動産業界全体は良くないですけど(笑)、中には良い会社もあるなという印象です。
非常に耳が痛いですけど、勉強になる意見をありがとうございます。最後にハセガワのこれからに一言お願いします。
これからもどんどんいい物件を紹介していただいて、WIN-WINの関係で長くいられるようにいたいと思いますので、引き続きよろしくお願いします。
<Infomation>
Me-Mott(メモット)パーソナルジム中野店
東京都中野区新井1丁目9-4 S-fit中野ビル3F
HP:https://me-mott-gym.com/
Instagram:https://www.instagram.com/me_mott.gym/
LINE:https://lin.ee/uXFd97F
株式会社ISSHIN:https://www.isshin-gym.co.jp/
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