2024年7月に、渋谷区恵比寿に美容室『raaba.』をオープンした代表の榊原 俊 様にお話しを伺いました。
美容師になろうと思ったきっかけを教えてください。
親戚のお姉ちゃんが美容師で、よく遊びに行ってました。美容師ごっこをしたりして遊んでくれたんです。その時に美容室が楽しい場所だと思ったんですよね。10歳くらいの時に美容師になりたいって意識したと思います。
10歳の時に思ったことをちゃんと実現されたのですね。
中学を卒業したら美容免許と高校課程が取れる学校に行こうと思ったんです。でも親が厳しくて大学進学を望んでいました。なので高校に行って大学も合格して結果は残して。それで入学はせずに、やっぱりやりたいのは美容師だからと親を説得して専門学校に行かせてもらった。
親の期待にあるところまでは応える子供っていうのも親孝行というか(笑)。ずっと美容師への思いは変わらなかったんですか?
サッカー選手になりたいとかはありましたよ(笑)。でも根本は変わらなかったですね。
美容師のキャリアは順調にスタートしたのでしょうか?
いやー(笑)、当時の給料だと生活するのが厳しかったですね。しばらくは貯金を切り崩しながらしてたんですけど、さすがにやっていけなくなって。親に相談したら「大学に行ったと思って2年間だけは支援するよ」と言ってくれた。
親御さんの考え方が温かいですね。
正直言うと、この業界に入って失敗したかなと思いました(笑)。僕は20歳から働き始めて、大卒の人が22歳で社会人になると給料を抜かれるんですよ。こんなに低いもんなんだなーと痛感しましたけど、みんなからは「好きなことを仕事にしているんだからいいじゃん」と言われて、確かに楽しいし、そうだよなと。
美容師になって、小さい頃に憧れた世界と同じ景色だったのでしょうか?
うわー違いましたねー(笑)。外から見てるとキラキラしてるけど、まず最初に出来ることが洗濯、ほうき掃き、ゴミ捨て、先輩の買い出し(笑)。それを3ヶ月間くらいやりながら夜に残って同期とシャンプーしたり、先輩に教えてもらったりしてようやくお客さんと関われるようになりました。その3ヶ月は苦渋でしかなかったですね(笑)。
苦渋であっても続けられたのは?
政治家や著名人が通うお店だったんです。来店されるだけでなく、テレビ局でヘアメイクをさせてもらったり、真夜中に呼び出されることもありましたけど(笑)、他の美容室では出来ないような貴重な経験をさせてもらえたと思います。
転職はどんなきっかけでされたのですか?
「辞める=マイナス」ではなくて、毎回次のステップに進むための転職でした。最初の美容室では、顧客がいるので新規集客をほとんどしてなくて、割り当てられるお客さんが少なかったんです。経験をもっと積みたいと思って低単価サロンに行って、毎月150人くらいのお客さんを担当していました。
今度はそのお店が大きな美容室に買収されて、スタースタイリストがたくさんいる美容室になり、売り上げの作り方を勉強させてもらった。その頃から自分のお店をやりたいなと思い始めましたね。
自分のお店をやりたいと思われてから2回転職されたのは?
大きな美容室だと社長の近くにいられないので、ニューオープンのお店だったり小さなお店を2つ経験して、経営の勉強をさせていただきました。
着実なステップを踏まれたんですね。ここからはオープンまでのお話しを聞かせてください。どのように他店舗と差別化しようと思われたのですか?
当時働いていたお店の環境よりもいいものを提供したいと思いました。ターゲット層は決めていましたし、プライベート感を大事にした空間を作りたいなと思っていました。ゆっくりしに来ているのにザワザワしているとかは嫌だったので、席数も少なくして、パーテーションをつけたり隣との間隔も広げたり。
1年くらい物件を探されたようですね。
美容機器のディーラーさんにナカゾノさんを紹介していただいたんですが、僕はテナント物件というものを何も知らなかったので、ナカゾノさんも「大変な人が来たなー」と思ったと思います(笑)。相場に全く見合わない無茶苦茶な条件でしたから、そんな物件ないですよね(笑)。ネットで調べていくうちに段々わかってきて、見込める売上や利益を考えながら、恵比寿と代官山で3つ内見した中から決めました。
不動産会社は何社くらい利用されたんですか?
3社くらい利用してたんですけど、途中からはナカゾノさんに全部お任せしていました。
ナカゾノの仕事ぶりはいかがでしたか?
初めての出店だったので何をすればいいのかも全くわからなかったんです。レスも早いし、色々調べてくれるし、教えてくれるし、めちゃめちゃ感謝しています。もちろんナカゾノさんだけじゃなくて、デザイナーさんとか内装屋さんとか頼りっぱなしで、お願いした以上のことをみなさんがしてくださって、本当に周りにいる方に救われてお店を出せたなって思ってます。
ナカゾノとのやり取りで印象的だったことはありますか?
契約する際に、話と違うなということがあったんです。オーナーさんとは契約後も関係が続いていくし、直接言いにくいなと思っていたんですが、間に入ってうまく調整してくださった。僕が聞いてもらいたいことも先回りして聞いていたりとか、本当に救われたかなと思います。すごい人でした(笑)。
お役に立てたようでよかったです。契約後に大変だったことはありますか?
お店が出来るまではみなさんにお任せしていたので僕は何もしなかったんですが、出来てからこの1ヶ月大変だったのは、エクセルですね(笑)。
エクセルですか?
今まで作られたものに打ち込むのはしてきたんですけど、それを自分のお店用に作らなきゃいけないじゃないですか。そもそもマックユーザーなので、エクセルは使ったことがなくて・・・。どうすればいいだろうと調べていたらスプレッドシートを見つけた(笑)。
美容師以外の事務的なことですね(笑)
ゼロから作るのは初めてだったので、めちゃめちゃ苦労しました。あとは自分のお店なんですけど、物の位置が前と違うのにまだちょっと慣れてないとか・・・(笑)。
今はお一人で運営されているので、あれもこれもしなくてはなりません。
接客しながら電話を取るのは大変ですね。今まで誰かがやってくれてたことのありがたさを感じます。「なんでこれできないんだろう?」と他人に対して思ってたことも、いざ当事者になると全然出来なくて、今更ながらに「あの人すげぇな・・」と(笑)。今までやってたようには見えなかったけど、きっと見せないでやってたんだなと思います。
経営者になって、これまで見えていなかったことが色々見えて来そうですね。
raaba.(ラーヴァ)という店名は、今までお世話になった美容室の頭文字を全部つなげて作りました。全てのオーナーさんやそこで出会ったお客さんのいた場所を大事にしていきたいなと思っています。
偶然とはいえ語呂がキレイに並ぶものなんですね。
みなさんに育ててもらえたことでこのお店が出来たと思っているので、本当に感謝しています。今まで働かせていただいたようなお店のようにしていきたいなと思っていますし、今後働いてくれる人たちにとってもいいお店にしていきたいです。
榊原さんは苦渋の時期を過ごした経験もありますから、あの時こうしてくれると嬉しかったなというお店作りが出来るといいですね。
今の時代というのも考えながら、働いてくれる人たちが、ちゃんとした暮らしが出来るようにしてあげたいというのは強いですね。美容師は全国的に見てもいまだに所得が低い仕事です。働く人たちが30代なら30代の会社員と同じくらいの所得が得られるようなお店にはしていきたいし、僕もそういうふうにしてもらったので、オーナーだけがいい思いをするのではなくて、働いてくれている感謝を形にできればと思っています。
ーインタビュー後記ー
オープンして1ヶ月の頃、インタビューを受けていただいたのですが、「1日も休みがないんですよー」と明るく楽しそうに話す榊原さんが印象的でした。10歳の頃に夢見た美容師の道を一途に追い続け、ようやく自分のお店を持つことになり、ここから始まる新しい物語。過去からの積み重ねや人との出会いを大切にしている店名からも、原点にあった『楽しい美容室』という場所を受け継いでいってほしいですし、お客様や働くスタッフへとバトンをつないでいってほしいと思います。
raaba.(ラーヴァ)
東京都渋谷区恵比寿西2-17-13 SOPHIAS B1-b
TEL:090-4627-7217
ホットペッパー:https://beauty.hotpepper.jp/slnH000709318/
Instagram:https://www.instagram.com/shunsakakibara/
【営業時間】
月、水~金10時~21時
土日祝日10時~20時
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