物件管理

PROPERTY MANAGEMENT

〔オーナーのための空室対策実践ガイド⑦〕管理が入居率を左右する?クレーム対応から見る入居者満足度

賃貸物件のオーナーにとって、「空室」は最も避けたい問題の一つです。
いくら立地や設備が良くても、管理が行き届かず入居者の満足度が低ければ、空室が増えやすくなります。
実は、入居者が長く住み続けるかどうかは、管理会社の対応力やクレーム処理のスピードに大きく左右されます。

この記事では、管理の質がなぜ入居率に影響を及ぼすのか、クレーム対応を中心に考え、オーナーとして取り組むべきポイントを解説します。

● 管理の質とは何か?入居者目線で考える

管理の質とは単に建物の維持管理や設備点検だけではありません。
入居者からの問い合わせやトラブル対応、日常のコミュニケーションも含まれます。
入居者にとって「困った時にすぐ相談できる」「問題を放置されない」と感じることが安心感につながり、住み続けたい物件になります。

たとえば、エアコンの故障や水漏れ、騒音問題など、生活に直結するトラブルに迅速に対応することは、入居者満足度を上げる重要な要素です。

● 賃貸管理でよくあるクレーム5選

賃貸住宅のクレームは多岐にわたりますが、その中でも多くのオーナーが困難だと認識しているトラブルは以下の5つです。
事例を把握した上で適切な対処をすれば、トラブルが大きくなることを防止できます。まずはクレーム内容を詳しく見ていきましょう。
 
1. 騒音
アパートやマンションでは、足音・話し声・生活音・楽器などによる騒音クレームが発生しやすく、生活スタイルの違いからトラブルに発展することもあります。

2. 設備の不具合
エアコンや給湯器などの不具合はクレームにつながります。古い設備は故障しやすいため、状況に応じてリフォームも検討しましょう。

3. 水漏れ
蛇口・排水トラップ・天井などの水漏れは、損害賠償に発展する場合があります。特に設備の老朽化による漏水には注意が必要です。

4. 入居者同士のトラブル
ゴミ出しや共用部分の使い方などで入居者間のトラブルが起こることがあります。大家としては冷静に双方の意見を聞いて対応することが大切です。

5. ペット関連のトラブル
鳴き声やにおい、他人への危害などが原因となるため、契約書に飼育条件を明記し、入居時にも周知しておくことが重要です。

● クレーム対応が早期退去を防ぐカギ

クレームを放置したり、対応が遅れたりすると、入居者はストレスを感じ、結果として退去を検討します。
入居者が退去を決める多くの理由は「管理会社・オーナーの対応が不十分」という声が多数です。

例えば、隣室の騒音トラブルを訴えた入居者が管理会社に連絡しても「調査に時間がかかる」「連絡が遅い」場合、精神的な負担が増し、引っ越しを選択することがあります。
逆に迅速かつ丁寧に対応すれば、入居者の信頼を得て長期入居につながるのです。

● ウルクルができる入居者満足度向上策

1.24時間対応体制の整備
 緊急トラブルは夜間や休日にも起きます。迅速に対応できる窓口を設けることで、入居者の安心感を高められます。

2.定期点検とメンテナンスの実施
 事前に問題を発見し解決することで、クレーム自体を減らせます。例えば、水回りの劣化や設備の不調を未然に防ぐことが重要です。

3.入居者とのコミュニケーション強化
 定期的なアンケートや連絡ツールを活用し、入居者の声を聞く姿勢を見せることが信頼構築に役立ちます。

4.クレーム対応のマニュアル整備とスタッフ教育
 対応の品質を均一化し、迅速・丁寧な対応を徹底することで、トラブル時も入居者の不満を最小限に抑えられます。

● オーナーが押さえておくべき管理会社との連携ポイント

オーナー自身も管理会社と密に連携をとることが重要です。以下のポイントを押さえましょう。

1.定期報告の確認
 管理会社からの入居者対応状況や設備点検報告を必ずチェックし、問題点の早期把握に努める。

2.改善要望の伝達
 入居者からの声や自身の気づきを管理会社に伝え、サービス向上を促す。

3.管理会社の対応力を評価し、必要に応じて見直す
 管理体制が弱いと感じた場合は、早めに管理会社の変更やサービス内容の改善を検討する。

● ウルクルでできる賃貸管理 ※※ATインタビュー要※※

【事例】
築50年、駅徒歩3分、事業用物件(家賃400,000円)を10年前に購入された。
住宅だった上階を事務所にして貸し出している。
しかし住宅の設備のため、電力が小さくすぐにブレーカーが落ちてしまうと借主からクレームが入った。
単純に電力を上げればよいといった話ではなく、古い建物なので、建築当初と現況が違うことも課題となった。

【施策】
*建築時の電気屋を探すも廃業されてしており、東京電力から業者を紹介してもらう
*各テナントに対して設備状況の確認を依頼
*オーナー様の業者にも協力していただく調整をする
*外壁の電力装置を見るため、隣のビルのオーナーとの調整

【結果】

* 既存借主の退去リスクを回避=空室を未然に防止
* 建物の弱点を顕在化・可視化できたことにより、今後の設備更新や募集時の対応に役立つ情報が蓄積された。



複数の専門業者とつながりができたことで、今後の対応スピードや信頼性も向上。借主からの信頼を維持でき、早期の契約解除といったリスクも回避できました。

● まとめ:管理の良さは入居率向上だけでなく資産価値の維持・向上にもつながる

良い管理は入居率アップに直結しますが、それだけでなく建物の長寿命化や資産価値の維持にも寄与します。
早期にトラブルを解決し、適切なメンテナンスを行うことで、大規模修繕のコストを抑えられるケースも多いです。
管理の質に目を向けることは空室対策の重要な一歩です。
オーナー様は管理会社選びと日々の情報共有を大切にし、入居者満足度を高めていきましょう。

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