〔オーナーのための空室対策実践ガイド②〕家賃の見直しで空室リスクを回避!適正価格設定の重要性とポイント
賃貸経営において空室は最大のリスクです。
内装や設備が整っていても、家賃設定が適正でないと、入居希望者の目に留まらず、いつまでも空室が埋まらない状況に陥ることも。
今回は、家賃の適正設定をテーマに、空室を防ぐためのポイントや注意点について詳しく解説します。
空室が長引くと、つい「立地が悪い」「建物が古い」などハード面ばかりを疑ってしまいがちです。
しかし、実際には家賃設定が高すぎることが原因であるケースも少なくありません。
特に次のようなサインが出ている場合は要注意です。
* 問い合わせはあるが、内見後に決まらない
* 周辺の同条件物件よりも明らかに高い
* 長期間募集しても反応が薄い
一度、冷静に家賃設定を見直す必要があります。
適正な家賃を設定するためには、まず周辺相場の把握が必須です。
調査方法は以下の通りです。
1. ポータルサイトをチェック
SUUMO、HOME'S、アットホームなどの賃貸情報サイトで、エリア・間取り・築年数が似た物件をリストアップします。
2. 現地で物件を内見
ネット情報だけでなく、実際に競合物件を見に行くと、設備や管理状態の差が把握できます。
3. 不動産会社にヒアリング
地元密着型の不動産会社に相談すると、リアルな入居者ニーズや成約データを得ることができます。
適正な家賃設定には、次のプロセスが効果的です。
1. エリア平均家賃を把握する
2. 築年数・設備条件に応じて調整
例:新耐震基準物件なら+5%、オートロックなしなら−5%など
3. 周辺物件とのポジショニングを決める
→「この価格ならここに住みたい!」と思わせる絶妙なラインを狙います。
ポイントは、高望みしないこと。
わずかな差でも成約率は大きく変わります。
単に家賃を下げるだけでなく、他の条件を調整することでも集客効果が期待できます。
* 管理費を低めに設定する
* 敷金・礼金ゼロキャンペーンを実施する
* 更新料なしプランを用意する
オーナーの手元に入る金額と入居者が引越しにかかる費用は大きく違います。
現在の首都圏の引っ越しにかかる初期費用相場は賃料の5~6か月分と言われています。
家賃を下げるだけでなく、他の条件を調整することで「実質的な負担感」を軽減し、心理的ハードルを下げる効果があります。
「空室=家賃値下げ」という単純な発想に陥るのは危険です。
なぜなら、値下げには限界があり、物件のブランド力低下を招くリスクもあるからです。
場合によっては、
* リフォームで物件価値を上げる
* ターゲット層を見直す
* 設備追加(インターネット無料、宅配ボックス設置)
といった、付加価値アップ戦略を選んだ方が賢明なこともあります。
【事例】
築37年、駅徒歩7分の木造4SDK戸建(家賃350,000円)
広さはあるが間取りが特殊、水回り等の設備が古いためなかなか決まらず。
【施策】
* 市場反響をみながら賃料を徐々に下げた
・定借期間の見直し(長くして再契約料カット)
【結果】
* 広告出稿からわずか2週間で成約
* 競合物件(同条件320,000円)より早く決まった
家賃は、賃貸経営における「商品価格」そのもの。
設定を間違えると、どんなに優れた物件でも空室リスクが高まります。
成功のためには、
* 周辺相場を正確に把握する
* ターゲット層に刺さる価格に設定する
* 家賃以外の条件も柔軟に調整する
この3つの視点を持つことが不可欠です。
冷静な家賃見直しで、安定した賃貸経営を実現しましょう!