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希望条件で検索するのに、理想に辿り着かない

2023.08.25

今回は賃貸の住み替えを振り返りたいと思います。

お客様との出会いを教えてください

ホームページからお問い合わせいただいたお客様です。引越し時期によってはすぐにご来店いただいた方がいいんですが、今回は少し先だったこともあり、条件を伺ってオンラインで物件を提案させていただく流れとなりました。更新を期に自分に合った環境を探したいとのことでした。

どんな条件で探されていたのですか?

「友達を呼びたいので1DK以上」「駅チカじゃなくてもいい」といった条件でした。ただ1DKは広めの1Kと比べると家具配置がうまくいかない場合が多いんです。エアコンも洋室にはあるけどDKにはないことがあり、そうなるとDKでワイワイやる時には洋室のドアを開けて空調を循環させる必要があるんですよね。じゃあ『1LDK』となると希望賃料を超えてしまう…。そんな話しをしながら、まずは大枠で条件を定めていきました。

ちなみに1DK以上を求めるお客様というのは、「寝室とは明確に分けたい」「洋室からキッチンを見せたくない」といった何かしらの理由があるように思います。

1DKは家賃が抑えられる分、エアコンが設置されてない物件も多いですね。

お客様にとって友達を呼ぶことは大事なことだと思いましたし、オンラインでやり取りした時にもそれを意識していました。しかし、いざお部屋の解約期限が近づいて、ご来店いただいて話しを伺っていると、多くのお客様がそうなんですが、お電話やオンラインの時と来店の時とでは話がガラッと変わってしまう(笑)。

話がガラッと変わるというと?

明確な暮らし方のイメージを持っているお客様ばかりではないので、ご来店いただいて図面を直接見合わせて、家具をこんな感じで置いたら動線がいいですよねと話したりする中で見えてくるものがあります。実はお客様は友達を呼ぶことよりも部屋の広さが大事だったんですよ。

今回は物件を20件くらい提案した中で、結局ワンルームのお部屋1つだけを内見することになりました。そして内見後、お申込みいただくことになるんですが。

全然違うところに落ち着きましたね

お客様には色々な理想や希望があります。その条件をスーモやアットホームに入れていけば物件は出てくるんですけど、それが理想の暮らし方に当てはまるかは別です。お客様自身で探されていた時の物件は、そもそもお客様の理想の生活ではなかったんです。

希望条件で検索するのに、理想に辿り着かないというのはどういうことですか?

インターネットでチェックする条件は『点』でしかないので、『線』で繋げた時に理想の暮らし方からは逸れている場合があります。理想の暮らし方というのは、今回で言うと「友達を呼ぶ」とか「部屋の広さ」ですね。例えば条件で床面積はチェックできますが、家具を置いた後のスペースに何帖以上必要とまではチェックできません。

家具配置には帖数が大事で、何人が寝泊まりするかは帖数+動線が大事。AIが進めば判断してくれる未来が来るかもしれませんけどね。

だから私の存在価値はそこなのかなと思います。お客様の理想の暮らし方の提案ができるというところ。

お客様はキッチンと洋室に区切りがないことには問題なかったのでしょうか?友達が来た時にベッドが見えますし。

それは重要ではなかったです。パーテーションで区切ればいいとおっしゃってました。同じ空間でエアコンがちゃんと使えることの方が大事でしたね。

例えば1Kか1Rの違いで、同室にキッチンは嫌だという方は1Kですけど、キッチンで料理をしても食べるのはだいたい洋室です。揚げ物や炒め物をよくする方には区切りがあったほうがいいかもしれませんが、お客様の料理の仕方や頻度を考えると、臭い問題はそんなに重要じゃなかったです。

料理をするから1Rはちょっと…という単純な話ではないということですね。内見されたのは1件だけでしょうか?

結果的には1件でしたけど、お持ちの洗濯機が入るかという懸念点があったので、セカンドプランを複数用意していました。内見してとても気に入っていただいて1番手の申し込みを確認した後、「セカンドプランも見に行かれますか?」と聞いたんですが、大丈夫とのことでした。当時出ていた物件の中では一番合った物件を提案できたと思っています。

ちょっと意地悪な質問をさせてください。お客様の中には営業担当者の意見に合わせてしまう方もいませんか?『本当はそうじゃないんだけどな・・・』ということを飲み込んでしまう方とか。

私は最初に『どうしたいか』を確認するようにしています。実家暮らしだと難しいんですけど、今住んでいるお部屋はどんな暮らしをしているか。家具は何を置いているか。決まっていなければ何を置きたいか。何を置きたいかが決まっていなければ、もっと掘り下げてお休みの日はアウトドア派かインドア派かとか。

お客様の中に答えがない場合には、「こういうものがあります」「どっちが好きですか?」といった提案をする。営業側が押し付けるのではなく、お客様との対話から理想の暮らしを見つけていく。セミダブルのベッドがいいとなれば、7帖以上は必要ですねとか。

家具の置き方を聞く理由は、家具が入ったうえでどう使うかという話です。それ以上に広さが欲しいという方もいますし、今回のお客様もよくよく伺うと、家具よりも友達を呼ぶことよりも広い空間が好きということだった。ミニマリスト的な方でしたしね。生活における圧迫感を感じない空間が必要だったんです。

「友達を呼びたい」という思いから相談を受けたけれど、「広い空間がいい」という潜在的ニーズがあったということですね。ところで内見時のお客様の表情は大事だと思うんですが、1件しか内見していないとなると比較対象がありませんがどう読み取るんですか?

内見に行くまでには20件くらい提案したんですが、今回の物件が一番いいという状態で内見に行ったんですね。話しをしている際に文句の付け所がないと確信できる場面が何度かあって、それが図面レベルで判断できるお客様もいます。今回のお客様はまさにそうで、それを確かめる為に複数見る場合もあれば、1件で決める場合もあります。行って改めて「めっちゃいいですね!」という言葉で安心しました。

大変だったことはありますか?

大変だったことはないんですけど、やっぱりご来店いただいて話しをしないとニーズが掴みきれないと感じます。電話やオンラインでもコミュニケーションは取れますけど、ただ希望条件というのは、肌感覚ですけど7~8割は変わるかなと思っています。引越しの時期もしかり条件もしかり、間取についてはほとんどが変わります(笑)。確固たるものを持って探される方は2~3割かなと。だからまずはご来店いただいたほうが早いですね。

オンライン接客が普及しましたが、それでも来店したほうがいいですか?

ZOOM等で画面共有しながら図面を見たり、家具サイズを書き込んで物件探しというのはやっているんですが、やっぱり来店には勝らないなと思います。それはお客様が不動産屋に来るというところでお部屋探しのマインドが一段上がるのではないかと。

もちろん今の20代前半くらいの方だとオンラインが日常的な部分もありますが、来店するのが面倒とかじゃなくて、「まずはオンラインで」と理解している方もいるんじゃないかと思います。「来店すると話しが全く変わることも結構あります。なぜなら~」という話をさせていただいて、それでもオフラインを希望するならもちろんOKですが、来店して相談されることが一番効率的だと思います。