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定期借家契約で貸主がやらなくてはならないこと

定期借家契約には、①契約前、②契約中、③再契約、④契約終了の際にするべき手続きがあり、これを怠ると普通借家契約に切り替わってしまうことがあります。ウルクルでは事業用賃貸物件の定期借家契約をサポートしていますので、建物自主管理のオーナー様や管理会社をお探しのオーナー様がいましたらお気軽にお問い合わせください。

定借の契約に必要なこと

【01 契約前】定期借家契約を有効に成立させる

事業用の賃貸借契約において、定期借家契約として有効に成立させるためには、契約手順を正しく踏む必要があります。

定期借家賃貸借契約が有効に成立するためには

①事前説明は貸主が行う必要がある

定期建物賃貸借契約を締結する前に『事前説明』を書面を交付して行う必要があります。これは貸主がする必要がありますが、宅建業者が行う場合は、貸主と代理契約をして、宅建業者のスタッフが代理人として借主に事前説明をする必要があります。この代理人は宅建士でなくてもいいですが、①事前説明と②重要事項説明の書面を兼ねる場合は宅建士である必要があります。

②事前説明書と重要事項説明書を兼ねることができる要件とは?

定期借家契約における事前説明書と重要事項説明書を兼ねて1つの書式で交付し、説明して定期借家を有効に成立させるためには、下記要件があります。

a.重要事項説明書に、定期建物賃貸借であり、契約の更新がなく、期間の満了により終了することを記載

b.重要事項説明書の交付をもって、事前説明に係る書面の交付を兼ねることを記載

c.賃貸人から代理権を授与された宅地建物取引士が行う重要事項説明は、賃貸人が行う事前説明を兼ねることを記載
→宅建士ではない人が代理権を持ち事前説明をすることもできますが、重要事項説明は宅建士がしなくてはならないので、その場合この要件は成立しなくなります。つまり事前説明と重要事項説明を同じ宅建士がすることが要件成立のポイントです。

d.賃借人から、これらの説明を受けたことについて記名押印を得ること

e.委任状等に代理権が授与されている期間等を明記し、交付しておくこと

③更新はなく終了することを正しく伝えて理解してもらう

契約期間満了後、双方合意の元継続して利用してもらうためには「再契約」が必要であり、「更新」ではありません。契約書面に「更新できる」といった一文がある場合は、普通借家と認められるケースがあり注意が必要です。

【02 契約中】契約終了通知を送る

貸主は期間満了の1年前から6か月前までの間に、借主に対し、期間の満了により賃貸借が終了する旨の通知をしなくてはなりません。通知者は貸主であって管理会社ではありません。また、通知を怠ってしまうと期間満了での終了を主張できなくなりますが、期間満了後であっても通知をすればそこから6か月後に終了を主張できます。

◆定期賃貸住宅契約終了についての通知(再契約意向あり)サンプルPDF
◆定期賃貸住宅契約終了についての通知(期間満了で終了)サンプルPDF

【03 再契約】定期借家の契約手続きを1から行う

再契約だからといって手順や書類を簡易に済ますことはできません。普通借家契約の更新契約では比較的簡易な手続きで更新ができますが、定期借家契約の契約手続きは、事前説明書の交付からすべて行う必要があります。これを省略してしまうと普通借家契約として認められてしまうことがありますのでご注意ください。

【04 契約終了】退去完了まで追う

契約期間満了後も借主が建物の使用を継続し、貸主も異議なく賃料を受領しているような場合には、黙示的に新たな普通建物賃貸借契約が締結されたものとみなされるといった判例もあります。退去してもらうつもりが、行動を起こさなかったがために普通借家契約として認められてしまった・・ということがないように、契約終了に近づいたら退去をフォローしていくことが大事です。

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