お客様の声

出すことがゴールにならないように、あくまで営業していくためのスタートを切るということ【atelier ittowa 代表:長南 健史さん】

2019/01/21

2018年8月1日に美容室『atelier ittowa』を表参道にオープンした代表の長南 健史(ちょうなん たけし)さんにお話しを伺いました。

 

▼はじめに長南さんが美容師になろうと思ったきっかけを教えてください。

高校生の時に、テレビでファッション通信を見ていて、コム・デ・ギャルソンの特集の時にヘアーメイクの仕事を知りました。そういう道もあるんだと思い、高校卒業後に山野美容専門学校に行ったんです。

 

▼ファッション通信ですか、懐かしいですね。卒業後はそのまま美容業界へ?

はい。ちょうどカリスマ美容師ブームが始まった頃でした。僕が入ったお店はその火付け役がいて、当時たぶん1000人くらい入社希望者がいたと思います。そこにたまたま受かってしまったんですよ(笑)。

 

▼たまたまも運のうちだと思いますよ(笑)。

それで就職した後にブームが来て、めちゃくちゃ忙しかった。一日に何人のキムタクパーマを巻いたかしれません(笑)。ただ、だんだん技術を覚えていくうちに、このままここにいていいのかな?という思いが湧いてきて、だったら一度の人生、留学を経験してみたいとイギリスに行きました。

 

▼美容師の留学ですか?

はい。うまくいったらそこに居ついてやろうと企んでいました(笑)。

 

▼イギリスではどのようなことを学んだのですか?

真っ直ぐに切ったりカット技術については、日本人は優れているんだなと思いました。海外は美容師免許自体がなくて技術も独学です。だから技術基準というものがそもそもありません。日本に外国人の美容師がほとんどいないのも資格という壁があるからです。最近では海外から日本に学びに来ているようですが。

日本では、ここを何度に引き出してどう切るとかありますから、そういう意味では技術がある程度保たれる。でもイギリスでは、本当に腕一本でのし上がっている人たちなので、美容師のプロとしての位置づけも高いんですよね。特にデザインへの意識が高くて、とにかく『イメージして切れ』とよく言われました。

お客さんも「こういう風にしたいんだけどあなたどう思う?」と聞いてくるんです。日本だとお客さんが強く意見を言う事は少ないじゃないですか。あったとしても雑誌を持ってきて「これにしてください」と言うくらい。美容師も「似合わないのになぁ・・・」と思いながらも切ったりします(笑)。でもイギリスだと「こんなダサくなるカットは(似合わないと思うので)したくない。他に行ってくれ」と美容師が言ったりする。「そんな髪型で歩かれるとこっちが迷惑だから」と。誰が切ったんだ?となるので、美容師もお客さんを選ぶんです。だからお客さんとよくケンカもしていました(笑)。切る方もそれくらいの気持ちでやっているんですよね。

美容室に最適な物件
▼お客さんと喧嘩するなんて日本ではまずないですよね(笑)。すごいプライドです。

ないですよね(笑)。基礎なんてなくて最初から応用編でした。

 

▼イギリスにはどのくらい留学されたのですか?

結局2年行きました。帰ってきたときにさすがにお客さんがいなかったので再就職しました。僕は毎年、年初めに一年の目標をノートに書くんですが、28歳の時に3年で独立しようと目標を立てました。そして3年が経ち、いざやるぞ!というときにリーマンショックが来ました。その時は銀行から希望した金額が借りられなくて、こんなところにまでリーマンショックの影響が来るのかみたいな(笑)。それで独立を一旦棚上げして、雇われ店長をしました。

 

▼リーマンショックに独立を阻まれたんですか。そしてようやく今回、独立のタイミングとなったんですね。表参道や青山という場所にこだわった理由を教えてください。

元々美容師を始めた場所ですし、ここで育ててもらいました。持っているお客さんの層もこのエリアでしたから。

 

▼他のエリアの選択肢はなかったのでしょうか?

なかったですね。年齢的にもやるのは最後だと思っていましたし、なにより感度の高い人がいっぱい集まる街ですからね。

 

▼感度が高いというのはどういうことでしょう?

例えばお金の使い方です。美容に対して、他のエリアだと1万円のところ、ここは1万5000円くらい使う方が多い。人で言えば経営者の方が多く来られます。エステやアパレル、金融、不動産など、その方たちに負けないように勉強して、期待を越えていきたいなと思います。

 

▼でも美容師の聖地でもあるような場所ですから、競合も多いですよね。やっていくのは大変だと思いますが?

そうですね。自分一人ならできてなかったと思います。このエリアで一人で売り上げを作ることは大変です。そもそも最初に入った店の美容師が凄かったんですよ。月に400万~500万稼ぐ人がたくさんいました。それが僕らの基準として目指すものだったので、他の店に行ったときに100万いかない人がたくさんいて愕然としました。これで一生終わったら怖いなと思って、そこからまた努力してアベレージを上げていきました。雇われ店長をしながら、このエリアでもなんとか店が持てるだろうという自信がつくくらいのところまでようやく来て、前から一緒にやろうと話していた今のパートナーの菅野とタイミングが合ったんです。

 

美容室の物件探し

 

▼物件探しで一番大変だった事はなんですか?

この物件を見つけるまでに1年かかったことですね。激しい山あり谷ありでした。

 

▼何件くらい内見されたのですか?

30件くらいは見たと思います。自分が働いているイメージが持てる物件となかなか出会えなくて。僕は割とそういうのを大事にしてるんです。それである時窪田さん(※ウルクル営業担当)からまだ世の中に出ていない物件を紹介してもらったのがここなんです。

 

▼内見したときはどんな感じだったんですか?

キタ!(笑)と。でも予定より広いし予算オーバーしていました。ただ僕はこれだけ待ったからやっと表れたと思いました。だったらできる策を練ってやったほうがいいんじゃないかと。一回突っ込んでみる価値はあるなと。

 

▼内装のイメージは持っていたのですか?

実は僕はあまりなくて、菅野がほとんどやりました。彼はそういうイメージをはっきり持っていたので一任しました。僕は、「いいんじゃない」と言うだけで(笑)。

 

▼オープンにあたって不安はありませんでしたか?

ありましたね。単純にお客さんが来なかったらどうしようとか揉めたらどうしようとか(笑)。終わり方話してないなとか。

 

▼終わり方を最初から話しておくという考えはどういうことですか?

結局はお金とかで揉めるので、そうなったら折半して止めようとか。その方が気持ちいいかなと。24時間の内、働いている時間は結構長いじゃないですか。その間ずっと一緒にいるわけですから、仕事がうまくいってないとプライベートも楽しくないし、その辺のバランスをもっと話しておけばよかったなと。

 

▼窪田とのやり取りで印象に残っていることはありますか?

迷ったりしたときに「これどう思います?」と周りに聞くんじゃなくて、まず自分がやりたいかどうかというジャッジをするように意識を向けてくれました。「最後は自分で決めてください」と、あくまで決定権は僕にあるんだと、決して安易なアドバイスはしなかったですね。お店を出すことがゴールではなくて、出すのがスタートなので、常に運営していくほうに視点を持っていってくれました。不安にならないように未来の話しをし続けてくれたのはよかったです。

 

プライベート美容室

 

▼手続きで大変だったことはありますか?

金融公庫でお金を借りる時に、審査が下りていざ入金となったのですが、契約書を持っていったら定借(定期借家契約)じゃダメですと一回ひっくり返されたんです(笑)。普通借(普通借家契約)じゃないと借りられないと言われて。でもTさんという美容機器メーカーの開業支援で相談に行っていたのですが、そこの営業担当さんが間に入ってくれて、なんとかお金が借りられることになりました。あの時は本当にびっくりしました。

 

▼お金がなかったらオープンできなくなるところでしたね。

借りられないって、嘘でしょって(笑)。

 

▼オープンして半年近く経ちましたが、うまくいっていることはありますか?

広告宣伝に関して菅野が頑張ってくれているので、結構新規が来てリターンも返って来ています。それから窪田さんから即戦力を紹介してもらったこともよかったですね。人材会社を利用していたら1人採用するのに何十万とかかりますし、育てる時間も考えるとこれは本当に助かりました。

 

▼反対にもう少しこうしたほうがよかったなと思う事はありますか?

インフラをもっとちゃんと話しておけばよかったなと。僕たちは共同経営なのでお店の役割分担をもう少しはっきりさせておけばよかったかなと思います。これからの話し合いが必要ですね。

 

▼役割分担を意識されるのはやはり前職の店長経験があったからですか?

そうかもしれません。人にはそれぞれ得意分野がありますし、お店にいるメンバーそれぞれのモチベーションが大事ですからね。もし一回目の独立を考えたタイミングでやっていたらと思うとぞっとしますね(笑)。そのぶん年は取りましたけど、経営の経験があってよかったと思います。

 

▼これから物件探しをする方へアドバイスをお願いします。

ゴールを間違えないことじゃないでしょうか。出すことがゴールにならないように、あくまで営業していくためのスタートを切るということですから。そして店舗は変に妥協するより納得いくまで探した方がいいと思います。妥協するとそれがなんとなくお客さんにも伝わってしまうと思います。

青山・表参道の美容室の物件探し

▼オープン前にイメージしていたのを100点とするなら、実際にオープンした後のイメージはどうですか?

100点満点ですね。

 

▼すごいですね!!イメージを具現化できたということですね。

こんなにいい物件は本当になかなかないと思います。駅徒歩2分で、光もすごく入るし、家賃もバカ高いわけでもないですし、近くに商業施設ができるので、人の流れが変わったらもう言う事ないですね。

 

▼ではここで、あえて営業窪田のダメ出しをしてください。

分からないことはその場ですぐに解決してきたので、不満はないですね。美容業界のことをよくわかっていらっしゃるので、言いたいことを言い合える関係だったのは大きいかもしれません。

 

▼ダメ出しなしですか・・・キレイすぎる話になってしまいますね(笑)。営業冥利に尽きるというか。ところで仕事のやりがいは雇われていた時と今では何か違いはありますか?

お客さんに対しては変わりませんが、経営面についてはやればやっただけ結果が出るので面白いなと思います。取り組んだことが売上につながったり、逆にこれしくったなとか(笑)。失敗も楽しんでやってます。数字の見方も最初は全然だったんですけど、経営のからくりを知れば知るほど面白いと思いますね。

 

▼今後の展望や夢を教えてください。

結局は美容師さんは独立したいわけじゃないですか。新しくお店を出して誰かに任せて、やれそうならそれを切り売りしていったりとかそんなことを考えてます。ここがフラッグショップになって、色々なコンセプトのお店を出していければいいですね。

 

 

「お客様一人ひとりに対して、身近な美容のプロでありたい」
サラリとおっしゃる長南さんの起業までの道のりは、インタビューでもお分かりの通り紆余曲折があった。一度目の起業を社会情勢により断念を余儀なくされ、その期間の経験が今とても活きているという。菅野さんというカラーの違うパートナーと共に、お互いの強みを活かし合うことで、お客様をフォローできる幅がぐんと広がったようだ。
「あー伸びたな…と思った時にすぐ顔が浮かぶ人でありたいなとか、巻き方わかんないとか、メイクの感じと髪の色に悩んだら電話やラインくれたりとか、身近な存在でありたいですね」
美容のプロとして、髪を切るその時だけのお付き合いではなく、日常の髪の困りごとにも相談に乗ってくれるというのは、お客様からすればとても助かることだと思う。オープンがゴールではなく、ここからがスタートだということが今回のインタビューではとても印象に残った。

 

青山・表参道の美容室
atelier ittowa(アトリエ イトワ)
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前4-9-7 ギャザリングコート2F
tel.03-6875-7565
http://ittowa.com/

記事一覧に戻る